この記事の要点
Q. 市街化調整区域の中古住宅は、買った後に建て替えできますか?
A. 建て替えできる場合はありますが、土地・建物の許可経緯や計画によって判断が変わります。磐田市の窓口で既存建物の資料と許可履歴を確認してください。2026年4月に申請受付が始まった豊田町駅東側の制度も、指定区域内に限られ、建築には都市計画法の許可が必要です。

中古住宅を見ていると、「市街化調整区域」という表示に出会います。庭や駐車場が広く、家族の暮らしに合いそうでも、将来建て替えられるかが気になるところです。答えは、土地と建物の経緯、建てたい家の計画によって変わります。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。富士ヶ丘サービスの代表・宅地建物取引士として、売る側の家も見ている立場から書きます。この記事では、住宅の状態や価格とは分けて、建て替えの判断材料をどうそろえるかを整理します。購入を決める前の確認に使ってください。
1. 調整区域という表示だけでは判断できない
磐田市の市街化調整区域では、住宅の建築が厳しく制限されています。一方、市は、適法に建築された建築物の建て替えは認められると案内しています。つまり、調整区域だから一律に建て替え不可とも、家があるから自由に建て替え可能とも言えません。
ここでいう市街化調整区域は、市街化を抑える区域の区分です。磐田市では1976年10月12日に、市街化区域と市街化調整区域を分ける「線引き」が行われました。ただし、古い家であることだけを根拠に、建て替え可能と決めつけないでください。土地と建物について、どのような根拠で建築されたのかを確かめる必要があります。
市の案内には、既存宅地、線引き前宅地、農家住宅など、異なる条件の制度が並んでいます。同じ地区にある二軒でも、確認すべき経緯が同じとは限りません。近所で新しい家が建ったことは手がかりにはなりますが、検討中の家にも同じ扱いが適用される証明にはなりません。
物件価格だけでは、将来の建て替えを判断できません。広さや間取りを見る作業と、土地の利用条件を見る作業を分けましょう。建物の傷みなども一緒に整理したい場合は、古家の道路・土地・建物を確認する順番を参考にしてください。
2. 豊田町駅東側の新制度は区域限定
磐田市は、JR豊田町駅東側地区の指定区域で、都市計画法第34条第11号に基づく制度の申請受付を2026年4月1日から始めています。住宅や店舗などを建築できる制度ですが、市内の調整区域全体が対象になったわけではありません。
意外に感じるかもしれませんが、指定された土地も、市街化調整区域のままです。市の「条例の概要」には、建築には都市計画法の許可が必要と明記されています。「駅の東側にある」「指定区域に入っている」という説明だけで、手続きが不要になるわけではありません。
制度の良い点は、指定区域で建築できる用途や条件が示され、検討の手がかりが増えたことです。その一方、私は物件の説明を受ける際に、区域図のどこに該当するのかまで示してほしいと考えます。駅からの距離や町名だけでは、敷地が対象に入るかを判断できないためです。
| 確認すること | 買主が受け取っておきたい材料 |
|---|---|
| 指定区域との位置関係 | 物件の位置と敷地を示した図面、市の区域図 |
| 建てられる建物の条件 | 希望する用途・規模と制度の条件を照合した説明 |
| 水害への備え | 雨水対策や、想定浸水深と居室の高さに関する確認 |
| 既存住宅の経緯 | その住宅の建築資料、都市計画法の許可履歴 |
市の概要資料では、雨水貯留施設等の設置を条件として挙げています。同等の効果が見込める場合には、浸透型の施設も可能とされています。また、想定浸水深との関係によって、居室の床面の高さについても条件があります。対象区域というだけで、希望の建物をそのまま建てられると考えるのは早計です。
これらは新しい制度の建築条件です。検討中の中古住宅がどの経緯で建てられたか、将来どの制度や手続きで建て替えるかとは、分けて相談します。水害情報の読み方は、磐田市のハザードマップ確認案内も利用できます。区域指定と災害への備えは、別々に確かめる材料です。
3. 許可履歴は売主の協力を得て確認する
磐田市は、市街化調整区域の建築相談に持参する資料を具体的に示しています。場所の分かる地図や公図、土地・建物の登記事項証明書、建物の確認済証・検査済証などです。購入検討中なら、まず仲介会社を通じて売主に資料の所在を確認すると進めやすくなります。
登記事項証明書は、土地や建物について登記された内容を確認する資料です。確認済証や検査済証とは役割が違います。どれか一枚があるから調査は終わり、と扱わず、手元の書類を名称ごとに整理してください。見つからない資料についても、ないと決めつけず、確認先と次の手順を相談します。
都市計画法の許可履歴の確認には、所有者本人か、本人から委任を受けた方の来庁が必要です。委任を受けた方には委任状の提出が求められます。買主候補が物件資料だけを持って行けば、すべての履歴がその場で分かるとは限りません。購入判断に必要な調査として、売主と仲介会社に協力を求めましょう。
既存宅地については、確認番号と確認年月日を電子申請または窓口申請で確認できると案内されています。電話での回答はできません。「役所に電話したら大丈夫だった」といった説明を受けたときは、何を、どの資料で、どの窓口に確認したのかを聞き直す余地があります。

相談に持って行くメモには、現在の家の所在地だけでなく、将来どう使いたいかも書きます。今の規模に近い家に建て替えたいのか、用途や敷地の使い方も変えたいのか。計画が曖昧なままでは、市の説明と家族の想定がずれやすくなります。まだ図面がなくても、希望と未定の部分を分けて伝えることはできます。
道路や境界なども含めて書類を整理するなら、磐田市・袋井市の家で確認する6項目を使ってください。今回の都市計画法の確認だけで、建築に関わるすべての確認が終わるわけではありません。
4. 買う前に「分かったこと」と「未確認」を分ける
中古住宅の購入判断では、建て替えの見通しが分かった部分と、まだ調べる部分を分けて残してください。区域の確認、許可履歴、希望する建物の条件を一つの「大丈夫」にまとめないことが、後から説明を読み返す助けになります。
私は、建て替えの見通しが分からない段階で、購入を急ぐ必要はないと考えます。条件の合う家を見送るかどうかは、私も迷うところです。ただ、分からないことを「価格が手ごろだから」で埋めてしまうと、家族が望む暮らしと判断の根拠が離れてしまいます。迷っている間に確認材料を増やすことには意味があります。
仲介会社への依頼は、「将来建て替えたいので、既存建物の許可履歴と、私たちの計画で確認が必要な条件を整理してください」で構いません。回答を受けたら、確認した日、担当窓口、提示した資料、残った確認事項をメモにします。口頭での説明を聞いたことと、具体的な計画に許可が出たことも区別してください。
今日できる確認は一つ
気になる物件について、仲介会社に「確認済証・検査済証と、都市計画法の許可関係の資料があるか」を尋ねてください。買うかどうかをその場で決める必要はありません。資料の所在が分かれば、市への相談で何をそろえるかが見えてきます。
住宅ローンの利用可否や、購入後の工事費用を含めた資金計画は別に確認します。建て替えできそうだから融資も受けられる、と一緒に判断しないでください。個別の建築条件は磐田市の担当窓口や建築士へ、融資・税務・登記は金融機関・税務署・専門家に確認を。
5. よくある質問
Q. 今、家が建っていれば建て替えできますか?
A. 家があるという事実だけでは判断できません。磐田市は適法に建築された建築物の建て替えを認めていますが、検討中の住宅の経緯と希望する計画を個別に確認する必要があります。売主の資料や許可履歴をそろえ、市の窓口と建築士に相談してください。築年数や近所の建築事例だけで結論を出さないようにします。
Q. 豊田町駅の東側なら建築許可はいりませんか?
A. いいえ。2026年4月に申請受付が始まった制度は指定区域内の土地が対象で、駅東側のすべての土地ではありません。指定区域でも市街化調整区域のままで、都市計画法の許可が必要です。区域図と物件の敷地を照合し、用途や規模、雨水対策などの条件を市の窓口で確認してください。
Q. 購入を検討している人だけで許可履歴を調べられますか?
A. 磐田市は、都市計画法の許可履歴について、所有者本人または本人から委任を受けた方の来庁を求めています。委任を受けた方は委任状も必要です。まず仲介会社を通じて売主に調査への協力を求めましょう。一般的な制度相談と個別の許可履歴の確認を分け、必要資料や手続きを市に確かめてください。
出典:磐田市「市街化調整区域での住宅建築」(2026年3月23日更新)、同市「都市計画法第34条第11号条例の概要」。2026年10月23日確認。制度や取扱いは変わる場合があります。個別物件の可否を保証するものではありません。
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この記事を書いた人
静岡県知事(2)第14083号/公益社団法人 全日本不動産協会・不動産保証協会 会員。事務所は静岡県磐田市見付5789番地1、駐車場から直接入れます。
出典・参考
- 磐田市 市街化調整区域での住宅建築(2026年3月23日更新):https://www.city.iwata.shizuoka.jp/kurashi_tetsuzuki/juutaku_pet_seikatsu/juutaku/1001511.html(確認日 2026-10-23)
- 磐田市 都市計画法第34条第11号条例の概要:https://www.city.iwata.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/001/511/jyoureinogaiyou.pdf(確認日 2026-10-23)
本記事は2026年10月23日時点の情報をもとに、一般的な考え方を説明しています。制度・金利・税の適用は個別の条件で変わります。最終的な判断は、金融機関・税務署・各専門家にご確認ください。















