この記事の要点
Q. 調査済みの中古住宅なら、安心して買っていい?
A. 建物状況調査は、調査時点の対象部位の劣化・不具合を把握する判断材料です。欠陥がないことや購入後の無故障を保証しません。報告書で調査日、対象、調査できなかった箇所を確認し、追加調査・修繕見積もり・契約条件を揃えてから購入を判断します。

磐田市で中古住宅を探していて、「建物状況調査済み」という説明を見た。購入の判断材料が一つあるのは助かります。ただ、調査済みという表示と、家に欠陥がないという保証は別です。調査の内容や費用は、建物と依頼条件で変わります。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。宅地建物取引士・富士ヶ丘サービス代表として、買う前に何を揃えるかを考えます。売る側の家も見ている仲介会社の立場から、物件の評価を急ぐ前の確認順を書きます。
1. 建物状況調査は家の合格証ではない
建物状況調査は、既存住宅の対象部位にある劣化や不具合を把握する調査です。国土交通省の「建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」は、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分を対象に示しています。2026年10月15日に確認しました。
構造耐力上主要な部分とは、家を支える基礎、柱、梁などです。雨水の浸入を防止する部分には、屋根や外壁などが含まれます。目視や計測、非破壊検査で確認します。壁や床を壊して内部を残らず調べる作業とは区別してください。
宅地建物取引業法に基づく建物状況調査は、国の登録を受けた講習を修了した建築士が行います。国土交通省の制度Q&Aには、資格を示す修了証などの提示を依頼できるとあります。「住宅診断」という呼び名だけで判断せず、調査の種類と実施者を報告書で確かめます。
私は、専門家の観察を文書で残せる点を評価します。内覧の印象だけで話すより、どこに何があるかを売主と買主が共有しやすいからです。修繕の検討にも使えます。その上で、報告書を読む時間がないまま「調査済みだから安心」と結論づける説明には、注文があります。
| 報告書の情報 | 買主が次に確かめること |
|---|---|
| 劣化や不具合の記載 | 部位と写真を照合し、追加確認や修繕見積もりの要否を聞く |
| 調査できなかった箇所 | 理由を読み、条件を変えれば調べられるか相談する |
| 調査日・対象・方法 | 現在の状態との差、依頼範囲、別途必要な検査を確認する |
土地付き中古住宅では、建物の報告書だけで接道や境界の確認は終わりません。確認項目を広げるときは、古家の道路・土地・建物を確認する順番を併せて使ってください。売る側向けのページですが、買主が質問する順番にもつながります。
2. 2024年の見直しは調査の限界も明記した
標準媒介契約約款の2024年4月1日施行の改正では、建物状況調査の限界が明記されました。国土交通省の「既存住宅流通について」は、瑕疵の有無を判定するものではないこと等を明記したと説明しています。瑕疵とは、ここでは欠陥という意味です。
改正では、調査実施者のあっせんを「無」とする場合の理由欄も設けられました。あっせんは、調査を依頼できる人を紹介する手続きです。紹介の有無は、実際に調査をしたかどうかや、その結果とは分けて読みます。同日付で制度Q&Aも改訂されています。
2026年10月15日発表の新制度ではありません。2024年に施行された見直しを、今の購入検討でどう読むかという話です。「無」の文字だけを見て、調査できない家だと決めつけることも避けたいところです。理由と、依頼できる別の方法を確認します。
意外に感じるかもしれませんが、調査を広める制度の説明に、調査の限界も書かれています。私は、この線引きこそ買主に先に伝えるべきだと考えます。役立つ情報と、まだ分からない部分を並べるほうが、ご家族の購入判断に使えるからです。
3. 報告書は未調査の欄から読む
建物状況調査の報告書は、結果だけでなく、対象範囲と調査できなかった箇所まで読む必要があります。「劣化事象なし」という記載は、見られなかった場所まで異常がないという意味にはなりません。国土交通省の活用の手引きも、調査できない箇所を省略できることを示しています。

私は、調査済みの一言で、買う判断を済ませないと決めています。報告書に空白があれば、空白を埋める手段があるかを先に考えます。調査済みという表示に、お金を払うわけではありません。買うのは家と、その後の暮らしです。
- 調査対象の住所と建物を確認する。検討している住宅の資料かを確かめる。
- 調査日と実施者、調査の名称を読む。何の制度に基づく調査かを確認する。
- 調査できなかった部位と理由に印を付ける。写真と図の位置を対応させる。
- 指摘された劣化について、追加検査や修繕が必要かを調査者に聞く。
- 調査後の修繕、雨漏りなどの申告がないかを、売主側へ別に確認する。
例えば床下点検口の周囲に荷物があり、確認範囲が限られた場合を考えます。これは確認の考え方を示す仮の例です。荷物を移して再確認できるのか、点検口から見える範囲がどこまでなのかを相談します。見られない理由を聞くことと、異常があると疑うことは違います。
大石のひとこと
私は、未調査の箇所が一つあるから購入を見送る、と一律には考えません。ただ、どこまで費用をかけて確かめるかは迷います。家計には上限があります。残る不明点と、その確認にかかる費用を並べ、ご家族が引き受けられるかを考えます。決めきれなければ、結論を保留する選択を残します。
磐田市の中古住宅でも、所在地だけで建物の状態は決まりません。土地の条件を併せて質問する際は、磐田市・袋井市の家で確認する6項目で、接道・境界・災害などの確認を整理できます。建物の調査と土地の調査を、同じ書類で済んだと思わないことです。
4. 追加確認と見積もりを契約前に並べる
中古住宅の購入前は、建物状況調査、追加確認、修繕見積もり、契約条件を別々の材料として揃えます。調査報告書に不具合が書かれていても、修繕費や負担者がそのまま決まるわけではありません。私は、判断に必要な書類が揃う日から逆算して段取りを組むのがよいと考えます。
まず仲介担当者に、結果の概要だけでなく報告書や写真も見たいと伝えます。資料がなければ、誰が持っているかを確認します。調査者への質問は「大丈夫ですか」より、「この欄の未調査部分は、追加で何をすれば確認できますか」のほうが具体的です。
追加調査を希望する場合は、実施可能な範囲、売主の承諾、日時、費用負担を先に調整します。国土交通省のQ&Aは、買主が調査するにはあらかじめ売主の承諾が必要だと説明しています。入室できる日や荷物の移動は、自分の都合だけでは決められません。
修繕見積もりでは、工事範囲と、開けてみないと分からない部分を分けてもらいます。私なら、購入価格に工事費と諸費用を足し、確認できない部分への余裕も家計の中で考えます。金額を決める前に、見積もりに含まれない作業を聞きます。
調査済みという説明から、瑕疵保険や売主の保証まで付いていると推測しないでください。保険の加入や保証の有無、対象、条件は別の確認です。契約書の建物の記載と、報告書で確認した内容がどう対応するかも聞きます。責任の範囲は個別の契約条件で変わるため、判断は専門家に確認を。
今日できる確認
「報告書の全文と写真、調査できなかった箇所の説明を見せてください」と仲介担当者へ伝える。それが今日の一歩です。手元に資料があれば、疑問のある欄に印を付けます。問い合わせるときは、富士ヶ丘サービスのお問い合わせ窓口でも、購入判断の前に確かめたい項目としてお伝えください。
制度や資料は改訂されることがあります。この記事は2026年10月15日確認の一般的な整理で、個別の家の安全性を判定するものではありません。税務・登記・住宅ローン可否・補助金の適用は個別条件で変わります。金融機関・税務署・専門家に確認を。
5. よくある質問
Q. 劣化事象なしなら、その家を買って安心ですか?
A. 調査対象で、調査時点に確認された結果として読みます。欠陥がないことや将来の無故障を保証する記載ではありません。対象範囲、未調査箇所、調査後の状態を確かめ、土地の条件や契約書も別に読みます。報告書の意味が分からない箇所は、調査をした建築士に説明を求めてください。
Q. 調査できなかった箇所があったら、どうしますか?
A. 未調査だから異常があるとも、異常がないとも判断できません。理由を読み、荷物の移動や点検口の確認で調べられるかを調査者に相談します。追加調査は売主の承諾と費用負担も先に調整します。確認できないまま残る部分があれば、その不明点を含めて購入を保留するか判断します。
Q. 建物状況調査の費用は一律ですか?
A. 一律ではありません。国土交通省のQ&Aは、費用の基準設定はなく、実施者や建物の規模・工法などで異なると説明しています。依頼前に見積もりを取り、対象部位、報告書の内容、追加検査の料金を確認してください。安いか高いかを比べる前に、何を含む見積もりなのかを揃えます。
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この記事を書いた人
静岡県知事(2)第14083号/公益社団法人 全日本不動産協会・不動産保証協会 会員。事務所は静岡県磐田市見付5789番地1、駐車場から直接入れます。
出典・参考
- 国土交通省 既存住宅流通について(2024年4月1日施行の見直し):https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk3_000001_00063.html(確認日 2026-10-15)
- 国土交通省 建物状況調査に関するQ&A(2024年4月1日改訂版):https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001735111.pdf(確認日 2026-10-15)
- 国土交通省 建物状況調査活用の手引き:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001735147.pdf(確認日 2026-10-15)
本記事は2026年10月15日時点の情報をもとに、一般的な考え方を説明しています。制度・金利・税の適用は個別の条件で変わります。最終的な判断は、金融機関・税務署・各専門家にご確認ください。















