この記事の要点
Q. 契約した中古住宅で引渡し前に地震。何から確認すればよい?
A. 安全を確保し、仲介担当者に地震後の状態確認を依頼します。契約の災害時条項を読み、修復の範囲・費用負担・引渡し日を文書で整理してください。支払いや解除の扱いは損傷と契約によって異なるため、自己判断で決めず弁護士等に確認します。

磐田市で中古住宅を契約し、鍵を受け取る前に地震が起きた。そんなとき、予定どおり残金を払ってよいか、迷うのは自然なことです。負担や解除の扱いは、損傷の程度、契約条項、引渡しの状況などで変わります。このページだけで個別の支払いや解除を決めないでください。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。富士ヶ丘サービス代表・宅地建物取引士として、売る側の家も扱う立場から、買主が仲介担当者に確認する順番を整理します。中心は、耐震性能の優劣ではなく、契約後から引渡しまでに起きた変化をどう扱うかです。
1. まず安全を確保し、以前の記録と分ける
地震の後の現地確認は、安全に立ち入れることが前提です。傾いた塀、落下しそうな瓦、建物の大きな変形が見える場合、自分で屋根や床下へ入らず、仲介担当者を通じて専門家の確認を手配してください。写真のために危険な場所へ近づく必要はありません。
静岡県は毎年11月を「地震防災強化月間」としています。県の2026年度案内は、12月第1日曜日の地域防災の日に向けた取り組みを説明しています。11月の住まいの確認では、避難用品と一緒に、購入手続き中の家の連絡先も整理しておくと動きやすくなります。これは県が売買契約の扱いを定めたという意味ではありません。
安全を確認できたら、内覧時や契約時の写真を探します。今回撮影した写真とは日付を分け、場所が分かる全景と気になる部分を残します。新しく見つけたひびが地震によるものか、以前からあったものかは、写真だけで断定しません。「いつ気づいたか」と「原因の判断」は別の情報です。
売主へ直接修理を求める前に、仲介担当者へ「契約後の変化を確認したい」と伝えます。売主が居住中なら訪問日時の調整も必要です。買主の判断だけで敷地に入ったり、設備を動かしたりしないようにします。
2. 契約書は災害時の条項から読む
引渡し前の地震については、契約書の「引渡し前の滅失・損傷」などの条項と、特約欄を並べて確認します。滅失は家が失われること、損傷は壊れたり傷んだりすることです。契約書によって見出しや表現が違うので、言葉が見つからなければ担当者に該当箇所を示してもらいます。
国民生活センターの改正民法解説は、不可抗力で契約上の義務を果たせなくなった場合の支払拒絶と、引渡しなどによる危険の移転を説明しています。危険の移転とは、当事者の責任によらない損失をどちらが負うかの境目です。契約した日だけで扱いが決まるわけではありません。
ただし、「地震が起きたから支払わなくてよい」とは読めません。修復して契約どおりの引渡しができるか、できないかで検討が変わります。物件の状態も契約内容も確認せず、残金の送金を自己判断で止めることは避けてください。支払いの扱いは担当者と弁護士に相談します。
| 読む場所 | 担当者に聞くこと |
|---|---|
| 災害による損傷の条項 | 修復して引き渡す条件、解除の条件は何か |
| 引渡し日・残金支払日 | 修復が必要な場合、変更の合意をどう残すか |
| 特約・物件状況の記録 | 以前からの不具合と今回の変化をどう区別するか |
中古住宅の「現状渡し」や契約不適合責任に関する免責の記載も、別に読みます。契約不適合とは、引き渡された物が契約の内容に合っていないことです。その免責と、契約後に生じた災害損傷を同じ意味だと決めつけないでください。どの不具合を誰が負担する約束か、実際の文言を専門家に確認します。
3. 修復するなら範囲と日程を書面でそろえる
修復して引き渡す話になったら、工事の対象、費用負担、完了の確認方法、引渡し日を一緒に整理します。「直しておきます」という返事だけでは、買主が想定した範囲と施工内容がずれる余地が残ります。
例えば壁のひびについて、表面の補修だけなのか、原因の調査も行うのかを確認します。これは想定例であり、特定の家の相談実績ではありません。工事を頼む相手、報告書を受け取る相手、買主に説明する相手を、担当者に整理してもらいます。
私は、確認用のメモを「対象・担当・期限」の形で作ることを提案します。基礎の一部分という曖昧な書き方より、写真の番号や場所を添えた方が、後から同じ箇所を確認できます。費用の負担者と、工事を発注する人も分けて書きます。買主が先に自己負担で工事を頼む前に、売主との合意を整えたいところです。
引渡しが延びるなら、引っ越し業者の変更条件や現在の住まいの退去予定も確認します。住宅ローンを使う場合は、融資実行日の変更が可能か金融機関へ相談してください。保険の補償開始日も保険会社等へ確認します。延期で生じる費用を売主に請求できるとは、ここでは断定できません。
口頭で合意した内容は、仲介担当者から双方が確認できる文書にしてもらいます。契約変更に当たる場合の署名方法も相談します。補修写真や報告書、合意文書は、購入時の契約書と一緒に保管します。地震前の記録も、古いからと消さないでください。

図は確認の順番を示すものです。支払拒絶や解除ができるかを自動で判定する図ではありません。個別の状態や契約は、仲介担当者と弁護士等に確認してください。
4. 買主が今日そろえるのは確認の材料
買主が最初にそろえる材料は、契約書、契約時の状態が分かる資料、今回気づいた変化のメモです。担当者に「どの条項が当たり、誰が現地を確認し、いつ説明を受けられるか」を聞くところから始めます。地震の直後に解除か購入続行かを即答する必要はありません。
建物状況調査の報告書がある場合も、調査日を確認します。地震より前の調査は、地震後の状態を見た記録にはなりません。一方で、以前の状態を知る比較資料にはなります。調査で分かる範囲は、既存記事の建物状況調査で分かることで整理しています。
購入全体の資料整理は古い家を検討するときの最初の確認、土地や周辺条件は磐田・袋井で確認する項目も参考にしてください。ただし、今回の損傷の原因や安全性を、一般的なチェック表で判断することはできません。
大石のひとこと
私は、引渡し日を守ることより、何を確かめて鍵を受け取るかを明らかにしたいと考えます。ただ、延期にも仮住まいや引っ越しの負担があり、何でも延ばせばよいとは思いません。だから、状態の確認と家計の日程を同じ紙に並べる。見えていない部分を残したまま、予定だけ進めない。それを私の判断の出発点にします。
5. よくある質問
Q. 小さなひびでも仲介担当者へ伝えた方がよいですか?
A. 新しく気づいた箇所として、場所と発見日を伝えてください。ひびの幅や写真だけで安全性や原因を決めず、契約時の写真との比較や専門家による確認が必要か相談します。危険な場所に入って撮影する必要はありません。地震前からの不具合かどうかも、未確認のまま断定しないようにします。
Q. 現状渡しなら地震後の修理も買主負担ですか?
A. その言葉だけでは決まりません。契約時に把握していた不具合と、契約後の地震による損傷は、確認する時点が違います。災害時の条項、特約、物件状況の記録をそろえ、負担の約束を確認してください。免責が及ぶ範囲や有効性を含む個別の解釈は、弁護士等の専門家に確認してください。
Q. 修復が終わらなければ決済を延期できますか?
A. 自分だけで延期を決めず、契約の期限と修復条件を確認して、売主との合意を調整します。金融機関には融資実行日の変更、保険会社等には補償開始日を相談します。引っ越しや退去予定への影響も伝え、変更内容を書面で残します。延期や解除が認められるかは、契約と具体的な事情によって異なります。
本記事は2026年11月8日に確認した一般的な案内です。個別物件の被害や安全性を確認したものではありません。税務・登記・ローン可否・補助金の適用を含む個別条件は、金融機関・税務署・専門家に確認を。契約の解釈や解除、費用負担は弁護士等に確認してください。
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この記事を書いた人
静岡県知事(2)第14083号/公益社団法人 全日本不動産協会・不動産保証協会 会員。事務所は静岡県磐田市見付5789番地1、駐車場から直接入れます。
出典・参考
- 静岡県 令和8年度地震防災強化月間(2026年10月14日更新):https://www.pref.shizuoka.jp/bosaikinkyu/sonae/earthquake/1086160.html(確認日 2026-11-08)
- 国民生活センター 国民生活2023年6月号 改正民法(債権法)第1回 pp.35–36:https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202306_14.pdf(確認日 2026-11-08)
本記事は2026年11月8日時点の情報をもとに、一般的な考え方を説明しています。制度・金利・税の適用は個別の条件で変わります。最終的な判断は、金融機関・税務署・各専門家にご確認ください。















