「戸建賃貸」買主の急増と磐田市|古家付き土地で売る選択肢
投資家の物件選びが「一棟アパート一辺倒」から大きく動いています。2026年に入って、戸建賃貸の購入比率はアパートに迫る水準まで拡大。磐田市で築20年超の中古戸建を持つ地主の方にとって、買主の顔ぶれが変わるという話は、売却タイミングと出口の作り方に直結する論点です。本稿では、戸建賃貸ブームの背景を整理しつつ、見付・中泉・JR磐田駅周辺の実情にあわせた3つの出口を比較します。
戸建賃貸が「ニッチ」から投資の主力候補に
不動産投資のトレンドが、ここに来てはっきり変わりつつあります。LIFULL HOME'Sの2026年トレンド予測によれば、投資家が直近1年で実際に購入した物件種別では、戸建賃貸の比率が43.4%に達し、約半年で7.4ポイント上昇しました。一棟アパートの48.4%にあと一歩、というところまで肉薄しています。これまで戸建賃貸は、少数の個人投資家が手掛ける「ニッチ手法」と見られてきました。それが2026年は、表通りの選択肢へと押し上げられている形です。
背景はシンプルです。日銀の政策金利見直しを受けて住宅ローン金利が上昇し、アパートローンも審査が厳格化しました。新築アパートは土地・建築費の高騰で利回りが薄くなり、一棟物の購入には自己資金の上積みが求められるようになっています。その結果、現金または小口融資で取得できる中古戸建が、リスクを抑えながら賃貸経営に踏み出せる現実解として急速に支持を集めているわけです。
需要の中身も変化しています。郊外で広めの戸建てを借りたい子育て世帯、ペット可・庭付きを求める二人暮らし世帯、テレワーク用に個室数の多い住戸を選ぶ単身者など、賃貸戸建ての借り手層は厚みを増しています。投資家は、こうした入居者ニーズが取れるエリアの中古戸建を、利回り重視で淡々と買い進めています。
磐田市の中古戸建市場は「投資家にも実需にも」見られている
磐田市の足元の数字を確認しておきます。地域の中古戸建の取引件数は年間400件規模、平均売却額はおよそ2,000万円、平均築年数は23年前後。建物が古くとも土地面積が250㎡前後と広めの戸建てが流通している点が、磐田の特徴です。表面利回りを取りやすい価格帯であり、これは戸建賃貸を狙う投資家にとって魅力的な土俵です。
同時に、自宅として中古戸建を購入する実需層も健在です。JR磐田駅周辺や見付エリアでは、ジュビロロード沿いの利便性や旧東海道沿いの落ち着いた住環境を求める層が継続して動いています。中泉・豊田町駅周辺は通勤利便、福田・竜洋方面は広い敷地と価格のバランス、豊岡方面は静かな住宅地と農地隣接の暮らし、と、エリアごとに買主像が分かれているのが磐田市の地場感覚です。
つまり、磐田の中古戸建には「自宅として住みたい実需」と「賃貸経営の素材として欲しい投資家」の二つのまなざしが同時に注がれています。地主にとっては、買主層を一つに固定しないことが、結果として売却条件の交渉余地を広げる材料になります。
磐田の地主に開かれた3つの出口戦略
築古の戸建を所有する地主の方が取り得る出口は、大きく次の3パターンに整理できます。それぞれの向き不向きを、磐田の市況と接続して見ていきましょう。
(1) 古家付き土地として売却する
築20〜40年の戸建てを、建物の解体を行わずそのまま流通させる手法です。投資家が買主候補になりやすく、解体費を売主が負担しないで済む点が大きなメリット。室内の残置物撤去や軽い清掃で引渡せるケースもあり、所有者の手間が少なくて済みます。査定価格は更地より下がりますが、解体費を差し引いた手取りで比較すると、結果的に有利になることがあります。
(2) 解体して更地で売却する
建物が大きく傷んでいたり、敷地形状が良好で土地価値が前面に出るケースに向きます。買主の幅は実需層も含めて広がりますが、解体費(木造30坪で概ね150万〜200万円が目安)と、解体後の固定資産税住宅用地特例の喪失に注意が必要です。年明けの賦課を避けたい場合、解体時期と引渡し時期の段取りが要点になります。
(3) 自前で戸建賃貸として経営する
売却せず賃料収入を取りに行く選択肢です。借家ニーズが取れるエリアに限られますが、リフォーム費用を抑え、家賃8万円前後で月10万円弱の手残りを狙う事例は磐田でも見られます。一方で、修繕の継続発生・空室リスク・将来の相続時の分けにくさといった負担も背負います。「あと一人世代分は住んでもらいたいか、ここで現金化したいか」という家族内の合意形成が判断軸になります。
| 選択肢 | 主な買主/受益者 | 所有者の手間 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 古家付き土地で売却 | 投資家・DIY実需 | 小(残置撤去中心) | 査定は更地より下がる |
| 解体して更地で売却 | 実需(注文建築)・投資家 | 中(解体段取り) | 解体費・税特例の喪失 |
| 自前で戸建賃貸経営 | ―(賃借人) | 大(継続管理) | 修繕・空室・相続分割 |
投資家の目に「合格点」と映る物件の条件
古家付き土地として売却を選ぶ場合、買主の中心は地元・遠隔地の投資家になります。投資家の判断は冷静で、感情ではなく数字で動く相手です。次の点を整えておくと、商談の前進が早くなります。
- 表面利回りが概ね8〜10%を見込めるレンジに売出価格が収まっているか
- 前面道路が建築基準法上の道路(幅員4m以上)に2m以上接道しているか
- 賃料相場が地域で取れているか(周辺の家賃事例で裏付け)
- 給排水・電気の引込みが現役で稼働しているか
- 過去のシロアリ・雨漏り・基礎クラック等の履歴と是正状況
- 越境物・境界の位置関係に争いがないか
これらが揃っていれば、投資家は「最低限のリフォームで貸せる」と判断しやすくなります。逆に未整理のままだと、買主側の見積もりに大きな安全マージンが乗り、結果として指値が深く入ります。事前整理で50万〜200万円の差が出ることは珍しくありません。
売却に動く前の確認チェックリスト
戸建ての出口を比較するなら、最低限以下を手元に揃えておきたいところです。
- 登記事項証明書(建物・土地)と公図、地積測量図の有無
- 固定資産税課税明細書(直近年度)
- 建物の建築確認通知書・検査済証(あれば)
- 過去の増改築・リフォームの履歴メモ
- 境界確認書・越境覚書の有無
- 水害・地震に関するハザード位置の自己確認(磐田市公表マップ)
これらは、投資家・実需どちらの買主層に出すとしても、査定の精度と売却スピードに直結します。手元になければ、ご相談の段階で取得方法から一緒に整理できます。
まとめ|買主層の変化を、判断材料に変える
2026年は、戸建賃貸を求める投資家の存在感が一段強まる年です。背景には、住宅ローン金利の上昇と建築コストの高止まりがあり、こうした地合いは短期での反転が見えにくい状況にあります。磐田市の地主の方にとっては、「古家付き土地として売る」「解体して更地で売る」「自前で賃貸する」の3つの出口を、ご家族の事情と保有コストに照らして比較できる好機でもあります。動き出すには、相続関係の整理や境界の確認、課税明細の点検など、地味だが時間のかかる作業の段取りが要点です。判断を急がず、しかし買主層が広いうちに具体的な検討を進めることが、手取りを守る最短ルートになります。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の物件や取引を勧誘するものではありません。実際の売却に際しては最新の制度・市場動向と個別事情を踏まえ、専門家にご相談ください。
















