「実家、どうしようね」——親世帯と話していて、こんな言葉が出るようになったご家庭は、磐田・袋井でも年々増えています。全国で空き家が900万戸を超えたというニュースを耳にした方も多いと思いますが、では私たちの暮らすこの地域では、空き家は実際どうなっているのでしょうか。今回は統計の数字と、当社が日々の相談で見ている現場の感覚の両面から、磐田市・袋井市の「今」をお伝えします。
数字で見る、静岡県と磐田・袋井の空き家
まず大きな絵から見てみます。総務省の令和5年(2023年)住宅・土地統計調査によると、全国の空き家数は900万戸、空き家率は13.8%と、いずれも過去最高を更新しました。30年前と比べて空き家の数はおよそ2倍になっています。
私たちの静岡県はどうでしょうか。県内の空き家数は29.5万戸、空き家率は16.6%で、全国平均を上回っています。さらに、別荘や賃貸・売却予定のものを除いた、いわゆる「使われないまま放置されがちな空き家」だけを見ても、県内で10.4万戸(5.9%)に達し、5年前から1.6万戸増えました。熱海・伊豆など別荘地を抱える東部の事情も県平均を押し上げていますが、西部でも空き家がじわじわ増えている流れは共通しています。
では磐田市は——。国土交通省の空き家対策ポータルに掲載された磐田市の空き家率は12.6%。県平均より低く、これは磐田が比較的住宅需要の底堅い地域であることを表しています。市内には一戸建てが約4万6千棟あり、住宅全体の約7割を占める「持ち家・一戸建ての街」です。ただし、その一戸建てのうち、旧耐震基準(1981年以前)に建てられたものが約3分の1を占めるという数字もあります。築40年を超える家が、これから次々と相続の対象になっていく——これが磐田・袋井の近い将来の姿です。
「数字に表れない空き家」が現場では多い
統計の数字は実態の一部でしかない、というのが現場での実感です。住宅・土地統計調査でいう「空き家」は、あくまで調査時点で人が住んでいない家。けれども当社にご相談いただくケースの多くは、統計上はまだ空き家になっていない家です。
親が施設に入った後の「実家」
いちばん多いのが、親御さんが介護施設やサービス付き高齢者向け住宅に移り、住んでいた家がそのまま残っているケースです。親御さんの住民票が残っていれば、統計上は空き家にカウントされないこともあります。けれど実際には、誰も住まず、月に一度の換気と草取りのために家族が通うだけ——という状態が何年も続いていることがよくあります。
相続したが、誰も決められない家
もう一つ多いのが、相続は済んだものの、きょうだいの誰も「自分が引き取る」とも「売る」とも言い出せず、宙ぶらりんになっている家です。遠方に住んでいて管理に通えない、思い出が詰まっていて手放しづらい、そもそも何から手をつけていいか分からない。気持ちの問題と手続きの煩雑さが重なって、結果として「とりあえずそのまま」になってしまうのです。
「持ち続ける」だけでもお金はかかる
空き家は、持っているだけで静かにお金が出ていきます。一般的な戸建ての空き家の維持費は、固定資産税・都市計画税に火災保険料、電気・水道の基本料金、草刈りや管理委託費などを合わせると、年間でおおむね20万〜50万円が目安とされています。使っていない家のために、毎年これだけの支出が続くわけです。
さらに注意したいのが、放置し続けた場合のリスクです。2015年施行の空家等対策特別措置法に加え、2023年の改正で「管理不全空き家」という区分が新設されました。倒壊などの危険がある「特定空き家」だけでなく、その一歩手前の管理が行き届いていない空き家も、市から指導を受けて改善されない場合、住宅用地特例(土地の固定資産税を最大6分の1に軽減する仕組み)の対象から外されることがあります。そうなると、土地の固定資産税が一気に跳ね上がります。「何もしないこと」が、いちばん高くつく選択になりかねないのです。
磐田には、相談できる窓口がそろっている
ありがたいことに、磐田市は空き家対策に力を入れている自治体です。市の建築住宅課が運営する「空き家バンク」をはじめ、危険な空き家の除却費用を補助する制度や、空き家を取得してリフォームする方への補助制度も用意されています。市は遠州空き家対策ネットワークや静岡県司法書士会、静岡県土地家屋調査士会、磐田市シルバー人材センターなどとも協定を結んでおり、登記・管理・除却まで地域ぐるみで支える体制が整いつつあります。
こうした制度は、知っていれば使えるけれど、知らなければ素通りしてしまうものです。「うちの場合は何が使えるのか」を整理するだけでも、選択肢はぐっと広がります。
介護と不動産、両方の窓口がひとつにあるという強み
私たち富士ヶ丘サービスは、磐田・袋井の地で、介護施設の運営と不動産の仲介を一つの会社として手がけてきました。これは全国でもそう多くない組み合わせです。
なぜこの形にこだわってきたかというと、空き家の問題は、たいてい「親の介護」とセットでやってくるからです。親御さんの住まいをどうするか、その先の実家をどうするか——本来ひと続きの悩みなのに、介護は介護、不動産は不動産と別々の窓口に相談しなければならないのが普通でした。当社なら、その両方を同じテーブルで考えられます。
そして私たちが大切にしているのは、ただ「高く売る」ことだけではありません。ご家族が後で困らない形で、納得して次に進めること。空き家にしてしまう前に、施設入居を考え始めた段階で「実家のこともそろそろ」と気軽に相談していただける——そんな存在でありたいと思っています。磐田・袋井という地域に根を張ってきたからこそ、この街の事情に合わせたご提案ができます。実家のこと、空き家のこと、漠然とした不安の段階で構いません。どうぞお気軽にお声がけください。
まとめ
静岡県の空き家率は16.6%と全国平均を上回り、磐田市も12.6%と、決して他人事ではない水準です。築40年を超える家が相続の時期を迎え、これから空き家予備軍はさらに増えていきます。一方で、空き家は持ち続けるだけで年間数十万円の維持費がかかり、放置すれば税の優遇を失うリスクもあります。けれど磐田には相談できる窓口も制度もそろっています。「実家、どうしようね」——その言葉が出たら、それが動き出すサインです。早めに、そして気軽に、地域の窓口を頼ってみてください。
※本記事の税制・制度に関する記述は2026年6月18日時点の情報に基づいています。固定資産税の軽減や各種補助制度の個別の適用可否は、磐田市・袋井市の担当窓口や税理士・税務署にご確認ください。
参考情報(出典)
・総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」
・国土交通省 中部地方整備局「空き家空き地取組みマップ(静岡県)」
・磐田市「空き家バンク」「磐田市空家等対策計画」
・国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法」関連情報
富士ヶ丘サービス株式会社
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