親御さんが施設に入られたあと、あるいは相続で引き継いだあと、誰も住まなくなった実家。「いつか片づけよう」「子どもが帰ってくるかもしれない」と思っているうちに、月日だけが過ぎていく――。そんなご相談を、磐田市・袋井市でとても多くいただきます。ただ、空き家を「持ち続けること」には、見えにくいけれど確実に積み上がっていくコストがあります。2026年は、空き家を取り巻く制度が一段と厳しくなる年でもあります。この記事では、不安を煽るためではなく、ご家族が落ち着いて判断するための材料として、税金と維持費のリアルを整理してみます。
「家を残しておけば固定資産税が安い」――その前提が崩れつつある
「更地にすると税金が高くなるから、家は残しておいたほうがいい」。これは長く語られてきた話で、半分は本当です。住宅が建っている土地には住宅用地の特例があり、土地の固定資産税の課税標準が小規模住宅用地(1戸あたり200㎡まで)で6分の1に、それを超える一般住宅用地の部分で3分の1に軽減されます。都市計画税もそれぞれ3分の1・3分の2に軽くなります。だから「家を壊して更地にすると土地の税負担が増える」という理屈は、確かに成り立ちます。
ただ、2026年を前にして、この「家を残しておけば安心」という前提が崩れつつあります。きっかけは、2023年12月13日に施行された改正・空家等対策特別措置法です。
2023年の法改正で新設された「管理不全空き家」
これまでの空き家対策では、周囲に倒壊や衛生面の悪影響を及ぼす危険な空き家を「特定空き家」と位置づけ、市区町村が勧告すると住宅用地特例が外れる、という仕組みでした。つまり「かなり傷んでから」でないと税の優遇は外れなかったのです。
2023年の改正では、ここに「管理不全空き家」という新しい分類が加わりました。これは特定空き家になる一歩手前の状態――窓や屋根が傷み始めている、庭木や雑草が伸び放題、といった「このまま放っておくと危険になりそうな空き家」を指します。市区町村は、この段階で所有者に対して指導・勧告ができるようになりました。
勧告を受けると、土地の固定資産税が最大で約6倍に
重要なのは、この「管理不全空き家」として勧告を受けると、住宅用地特例が解除される点です。小規模住宅用地で6分の1に抑えられていた課税標準が元に戻れば、土地の固定資産税は計算上、最大で約6倍になり得ます。「家を残しているから安心」だったはずが、管理が行き届かないまま勧告を受ければ、むしろ更地に近い負担に近づいてしまう。これが2023年改正で生まれた、新しいリスクです。
もちろん、いきなり税金が跳ね上がるわけではありません。指導・勧告という段階を踏みますし、適切に管理していれば対象になることもありません。ただ、遠方にお住まいだったり、ご自身やご家族の介護で手いっぱいだったりすると、「気づいたら庭が荒れていた」という状況は決して珍しくないのです。
もう一つの2026年の変化 ―― 住所変更登記の義務化
空き家を「持ち続ける」うえで、2026年にはもう一つ知っておきたい変化があります。2026年4月1日から、不動産の登記名義人の住所・氏名に変更があった場合、原則として2年以内に変更登記の申請が義務づけられます。正当な理由なく放置すると、過料の対象になり得ます。
これは2024年4月から始まった相続登記の義務化(不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内)と合わせて、「名義をきちんと整えておかないと、いざ売ろうとした時に手続きが止まる」という流れを強めるものです。たとえば、親御さんが施設に移って住民票を動かしている、過去に何度か引っ越しをしている――そうした「住所のつながり」が登記に反映されていないと、売却の決済段階で書類の補正に時間がかかり、予定していた引き渡し日が崩れることもあります。空き家を持ち続けるほど、こうした登記の積み残しは見えないまま増えていきがちです。
税金だけではない ―― 空き家を持ち続ける「見えない維持費」
空き家のコストは、固定資産税・都市計画税だけではありません。住んでいなくても、家は持っているだけで静かにお金と手間を求めてきます。代表的なものを挙げてみます。
まず管理の手間と費用です。風を通し、水を流し、庭の草を刈る。人が住まない家は驚くほど早く傷みます。遠方に住むご家族が定期的に通うとなれば、交通費と時間がかかりますし、業者に管理を委託すれば毎月の費用が発生します。次に火災保険や設備の維持。万一の火災・水漏れ・台風被害に備えれば保険料がかかり、放置すれば近隣への賠償リスクも残ります。さらに劣化による資産価値の低下です。空き家は人が住む家より傷みが早く、売れるはずだったタイミングを逃すほど、いざ売る時の価格は下がっていきます。「待っていれば高く売れる」とは限らず、むしろ逆に動くことのほうが多いのが実情です。
これらを合算すると、「使っていないのに、毎年それなりの金額が出ていく家」になっていることが少なくありません。税金・保険・管理費・そして下がっていく資産価値。空き家を持ち続けるコストは、この四つの合計で考える必要があります。
磐田市・袋井市ではどう考えればよいか
磐田市は、空き家への対応に比較的早くから取り組んでいる自治体です。市の制度には、活用できる空き家を紹介する「空き家バンク」や、危険な空き家の解体を後押しする「危険空き家等除却事業費補助金」があります。後者は、要件を満たせば対象工事費の2分の1以内・限度額50万円が補助される仕組みです(市税の滞納がないこと、権利関係の同意が得られることなどの条件があります)。また、この補助を受けて解体した場合には、固定資産税・都市計画税の減免が受けられる制度もあります。
さらに磐田市は、令和6年度に「空き家お越しプロジェクト」を立ち上げ、民間事業者と連携して空き家の所有者へ査定結果をお知らせする取り組みや、専門家による個別相談会なども進めています。つまり、磐田市にお住まい・ご実家がある方は、「放置するか・売るか」の二択で抱え込まなくても、市の制度と地元の事業者をうまく組み合わせて選べる環境が整いつつある、ということです。
一方で大切なのは、こうした制度には期限や要件、タイミングの判断がつきものだという点です。たとえば、相続した家を売る場合の「相続空き家の3,000万円特別控除」には相続開始から一定期間内という期限がありますし、解体補助や減免にも条件があります。「いつ・どの制度を・どう使うか」は、ご家族の状況と物件の状態によって最適解が変わります。
「介護」と「不動産」を、ひとつの窓口で
富士ヶ丘サービスは、磐田市・袋井市を中心に、介護と不動産の両方を手がけている会社です。サービス付き高齢者向け住宅やデイサービスを運営しながら、不動産の売買仲介もお引き受けしています。だからこそ、「親が施設に入ったあとの実家をどうするか」「介護と並行して相続の手続きをどう進めるか」といった、介護と住まいが絡み合うご相談に、ひとつの窓口でお応えできます。
私たちが大切にしているのは、「ただ高く売る」ことではなく、「ご家族が後から困らない売却」です。税金や登記、磐田市の制度のことも含めて、急かさずに、その方のペースで一緒に考えます。地域に根ざして長く営んできたからこそ、磐田・袋井それぞれの土地勘や相場感をもって、現実的なご提案ができると考えています。
まとめ ―― 介護・相続の節目こそ、考えどき
空き家は、放っておいても問題が消えるわけではなく、税負担・維持費・資産価値の低下という形で、静かにコストを積み上げていきます。2026年は、管理不全空き家への対応強化や住所変更登記の義務化など、空き家を「持ち続けること」のハードルが上がる年です。だからこそ、親御さんの介護や相続といった節目は、実家の今後を落ち着いて考える、ちょうどよいタイミングでもあります。
「すぐに売る・売らない」を決める必要はありません。まずは「うちの場合はどれくらいのコストがかかっているのか」「どんな選択肢があるのか」を知るところから。富士ヶ丘サービスは、磐田市・袋井市で、介護と不動産の両面からご相談をお受けしています。実家のこと、空き家のこと、どうぞお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年6月17日時点で公開されている法令・制度・各自治体の情報に基づき、一般的な情報としてまとめたものです。固定資産税の税額や特例の適用、各種補助・減免、控除の個別の適用可否は、物件やご家族の状況によって異なります。実際のご判断にあたっては、磐田市の担当課、税務署・税理士、司法書士など、それぞれの専門窓口に必ずご確認ください。
参考情報(出典)
・国土交通省/改正空家等対策特別措置法(2023年12月13日施行)「管理不全空家」「特定空家」と住宅用地特例の解除について
・公益社団法人 全日本不動産協会「空き家の放置で税金が6倍に? 法改正で『管理不全空き家』が減税対象外に」
・住宅用地の課税標準の特例(小規模住宅用地6分の1・一般住宅用地3分の1ほか)/各自治体公表資料
・法務省/不動産登記法 住所変更登記の義務化(2026年4月1日施行)・相続登記の義務化(2024年4月1日施行)
・磐田市公式ウェブサイト「空き家」「空き家バンク」「危険空き家解体費用の助成」「空き家解体に係る減額措置」「空き家に関する相談会等」
・磐田市公式ウェブサイト「被相続人の居住用家屋(相続空き家)を譲渡した場合の特別控除」
富士ヶ丘サービス株式会社
静岡県磐田市見付5789番地1
TEL:0538-31-3308
静岡県知事(2) 第14083号
http://www.fujigaoka-service.co.jp/
公益社団法人 全日本不動産協会/公益社団法人 不動産保証協会/公正取引協議会加盟事業者















