夜の10時、所用で街なかを通りかかったとき、ふと足が止まりました。かつてはこの時間でも人の声がしていたはずの通りが、いまはひっそりと静まりかえっている。シャッターの下りた店、灯りの消えた窓。寂しさを感じると同時に、「この街で実家を守ってきたご家族は、いまどんな思いでいるのだろう」と考えました。今回は、駅前のにぎわいが薄れていく背景と、そこに重なる「空き家」「相続」「実家じまい」の問題について、磐田・袋井の地域密着でお話しします。
なぜ、夜の駅前から灯りが消えていくのか
地方都市の中心市街地から人の流れが薄れていく現象は、磐田に限った話ではありません。背景には、長い時間をかけて進んできたいくつかの大きな流れがあります。一つは、車社会の進展と暮らし方の変化です。日々の買い物を近所のお店で済ませるのではなく、駐車場の整った郊外の大型店で週末にまとめ買いをするご家庭が増えました。利便性の高い郊外に客足が向かう一方で、徒歩や自転車を前提につくられてきた駅前・旧街道沿いの商店は、少しずつ厳しさを増していきます。
もう一つ、見落とされがちなのが「お店を営んできた方々の高齢化」です。多くの商店は、店舗と住まいが一体になった建物で、ご家族が代々暮らしながら商いを続けてこられました。けれど、ご主人や奥さまが高齢になり、体調を崩されたり、施設に入られたりすると、お店を続けることが難しくなります。お子さんはすでに別の土地で家庭を持ち、戻って店を継ぐ予定はない――。こうして一軒、また一軒と灯りが消え、やがて建物だけが残されていく。夜の駅前の静けさは、こうした一つひとつのご家庭の事情が、長い年月をかけて積み重なった結果でもあるのです。
「空き店舗」「空き家」は、相続の問題でもある
通りに増えていく空き店舗や空き家は、まちなみの問題であると同時に、それぞれのご家族にとっては切実な「相続」「実家じまい」の問題です。親御さんが店じまいをして施設に入られたあと、その建物をどうするか。住む人のいないまま固定資産税だけがかかり続け、傷みが進み、いざ手放そうとしたときには建物の価値がほとんど残っていない、ということも少なくありません。
放っておくほど、選択肢は狭くなる
国も、人口減少のなかで都市の中心部にぽつぽつと空き地・空き家が生まれる「都市のスポンジ化」を課題として挙げています。所有者が複数の相続人に分かれて連絡がつきにくくなったり、誰が管理するのかが曖昧なまま放置されたりすると、売るにも貸すにも手続きが一気に難しくなります。逆に言えば、「まだ親が元気なうち」「相続人が少ないうち」に方針を決めておくほど、選べる道は広いということです。早めに動くこと自体が、ご家族を守る大きな一歩になります。
磐田・袋井のいま ― 見付宿の面影と、これからのまち
磐田の中心市街地は、旧東海道の宿場町・見付宿から発展した歴史ある地域です。見付本通り沿いには近隣商業地が形成され、旧見付学校をはじめ宿場町の面影を残す資源も豊富に残っています。市の都市計画でも、見付本通りや中央幹線の沿道は、駅前を補完しながら商業・医療・福祉といった日常に必要な機能を誘導し、住むことと暮らしの利便性を両立させる「にぎわいのあるまち」をめざす方向が描かれています。
磐田市には空き家バンクの制度もあり、活用に向けた動きは少しずつ進んでいます。とはいえ、制度があるだけで一軒一軒の家が片づくわけではありません。大切なのは、その家やお店に何十年も暮らしてこられたご家族が、納得のいく形で次の一歩を踏み出せること。夜の駅前の寂しさを嘆くだけで終わらせず、「では、わが家はどうするか」を具体的に考えはじめること。そこに、私たちのような地元の不動産が果たせる役割があると考えています。
富士ヶ丘サービスが大切にしていること
富士ヶ丘サービスは、磐田・袋井で介護事業と不動産事業の両方を営んでいます。だからこそ、「親の介護や施設入居」と「実家・店舗の売却」を切り離さず、ひとつのご相談としてお受けできるのが私たちの強みです。お父さま・お母さまの暮らしの場所をどう整えるかと、住まいや店舗をどうするかは、本来ひと続きの問題。その両方を一緒に考えられる窓口は、そう多くありません。
そしてもう一つ大切にしているのが、ただ「高く売る」ことだけを目的にしない、という姿勢です。相続人どうしが後で揉めないように、税や手続きの段取りも見据えながら、「家族が困らない売却」をめざす。地域に根ざし、見付宿のまちなみと磐田・袋井の事情をよく知る者として、一軒一軒の事情にていねいに向き合っていきます。夜の駅前に灯りを取り戻すのは簡単なことではありませんが、ご家族一人ひとりが安心して次の一歩へ進めるお手伝いを、これからも続けてまいります。
まとめ ― まずは、気軽にご相談ください
駅前の静けさは、たくさんのご家庭の「実家どうしよう」という思いの積み重ねでもあります。空き家・空き店舗・相続の問題は、放っておくほど選択肢が狭くなり、早く動くほど穏やかに解決できます。磐田・袋井で「実家をどうしよう」「親の介護と家のことをまとめて相談したい」とお考えの方は、どうか一人で抱え込まず、お気軽にお声がけください。売る・売らないを決める前の、ちょっとした疑問からで構いません。地元の私たちが、ご家族の味方として一緒に考えます。
※本記事の制度・統計に関する記述は2026年6月17日時点の公開情報に基づきます。税制・補助制度等は改正される場合があり、個別の適用可否については税理士・税務署、各制度の所管窓口へご確認ください。
参考情報(出典)
- 磐田市「磐田市中心市街地活性化基本計画」磐田市公式ウェブサイト
- 磐田市「地域別構想 見付地区」都市計画関連資料
- 磐田市「空き家バンク」磐田市公式ウェブサイト
- 国土交通省「都市のスポンジ化について」(平成29年8月)
- RIETI「中心市街地のにぎわいをどうやって取り戻すか」
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