不動産価格はこの数年、各地で高騰を続けています。特に都心のマンションなどは、相場が高止まり状態です。これまでの傾向から見て、今が不動産価格のピークではないか、と感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、この「今がピーク」説には慎重になるべき点があります。過去のデータを詳細に見ると、必ずしもそうとは限らないことが分かります。この記事では、不動産価格の推移を長期的に振り返り、「今がピーク」説の是非を検証してみましょう。
●過去のバブル期との比較
最後に不動産価格がピークを迎えたのは、1991年のバブル期です。しかし、当時の価格高騰ぶりと比べると、今の水準ははるかに低い値付けです。
例えば、都心の高級マンションの場合、バブル期の最高価格は今の2~3倍にも達していました。地方都市でも価格が現在の1.5~2倍ほどまで高騰していた地域が少なくありません。
バブル期ほど異常な高騰局面ではないため、現時点で直ちにピークを迎えるとは考えにくいでしょう。むしろ、過去の水準からすると、まだ上昇余地があると見るべきかもしれません。
●人口動態や世帯数の変化
不動産価格を左右する要因として、人口動態や世帯数の変化があります。日本の人口は減少局面に入りましたが、世帯数は増加傾向にあるため、住宅需要は依然として根強いと考えられます。
また、単身世帯の増加も不動産需要を下支えしている要因です。家族向け住宅が減少する一方で、1~2LDKのマンションには安定した需要が見込めそうです。
人口動態の変化を踏まえると、少なくとも数年は住宅需要が維持されると予想され、大幅な価格下落にはつながりにくいでしょう。
●都市部と地方の二極化
近年は都心部と地方で不動産価格の二極化現象が顕著となっています。エリアによって動向が大きく異なるため、一概に「ピーク」とは言い切れない側面があるのです。
地方都市の住宅は、人口流出に伴い価格が低迷しています。しかし、都心部の需要過多なエリアでは、依然として高騰が続いています。
人口集中の都心部においては、相場のピークアウトは当面訪れないと推測されます。エリア特性に応じた見方が必要不可欠なのです。
●低金利と資産選好の動向
低金利環境が続く限り、不動産への投資マネーは引き続き流入すると考えられます。金融資産の運用難から、確実な資産としての不動産の選好が高まるためです。
さらに、新型コロナ禍を受けて、住環境への需要が一段と高まっていることも、需要の柱となっています。
低金利と資産選好が推移しない限り、不動産価格が大きく下落する可能性は低いでしょう。
●マクロ経済動向の推移
マクロ経済全体の動きも重要なポイントです。日銀の金融緩和策が続く中、企業業績や雇用環境は総じて堅調です。賃金上昇の兆しも出ており、個人消費の拡大が期待できます。
好調な経済環境が維持されれば、不動産需要の増加につながることが期待できるでしょう。
●まとめ
過去のバブル期と比べても、現時点の不動産価格は決して高すぎる水準ではありません。人口動態や世帯数の変化、エリア特性、金利と資産選好の動向などを総合的に考えると、一概にピークを迎えているとは言い切れないと考えられます。
ただし、エリアによっては価格が過熱感を強めているケースもあるでしょう。不動産購入を検討する際には、中長期的な視点で慎重に判断する必要がありそうです。
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