「実家が空き家になったまま」「使っていない家をどうしよう」。磐田市で空き家をお持ちの方の中には、そんな悩みを抱えたままになっている方も多いのではないでしょうか。磐田市には、空き家の活用や売却を後押しする「空き家バンク」という仕組みがあります。この記事では、空き家バンクの中身と、所有者が使える相談ルート、あわせて活用できる支援制度を、わかりやすく整理します。何かを急かすものではなく、最初の一歩を考えるための材料としてお役立てください。
磐田市の空き家は、これからどうなる?
はじめに、磐田市の空き家を取り巻く状況を見ておきましょう。令和5年のNHKの番組では、磐田市が静岡県内で空き家がもっとも増えていくと紹介されました。これを受けて市は、空き家研究で知られる明治大学の野澤教授と情報交換を行い、増加の要因を踏まえた対策に取り組んでいます。
空き家が増える背景には、いくつかの事情があります。高齢の親が施設へ移ったり、亡くなったあとに家が空く。子どもはすでに別の場所で暮らしていて、戻る予定がない。こうした流れは、磐田市に限らず全国で起きています。相続した実家を、どう扱えばよいか決めかねたまま時間が過ぎてしまう。そんなケースも少なくありません。
空き家は、放っておくと建物が傷み、価値が下がりやすくなります。庭木や設備の管理にも手間がかかります。さらに、適切な管理がされていない空き家は、固定資産税の住宅用地の優遇が外れて、負担が増える場合もあります。だからこそ、「まだ使えるうちに、どうするかを考える」ことが大切です。磐田市は、その判断を所有者ひとりに抱え込ませない仕組みを整えてきました。その代表が、空き家バンクです。
空き家を放置すると、どんなことが起きる?
「とりあえず置いておく」という選択は、一見ラクに思えます。けれど、時間とともにいくつかの負担が積み重なっていきます。代表的なものを挙げてみます。
- 建物の劣化 ── 人が住まない家は風通しが悪く、傷みが早く進みがち。雨漏りやシロアリに気づかず、修繕費がふくらむことも。
- 管理の手間と費用 ── 庭の草木は伸び、近隣への配慮も必要に。遠方に住んでいると、見に行くだけでも一苦労です。
- 税の負担増 ── 「管理不全空家」と判断されると、固定資産税の優遇が外れ、負担が大きくなる可能性があります。
- 防犯面の不安 ── 空き家は、地域にとっても不安の種になりがちです。
こうした負担は、早めに動くほど小さく抑えられます。逆に、先送りするほど選択肢が狭まっていくのです。
空き家バンクとは ── 市が橋渡しする仕組み
空き家バンクは、磐田市が運営する空き家の情報提供の仕組みです。市内にある空き家のうち、活用してほしい物件を市の公式サイトで紹介しています。掲載されている情報は、不動産関係事業者から寄せられたものです。買いたい方は、市ではなく直接その事業者に相談する流れになっています。
つまり、市が「橋渡し役」となり、空き家を探す人と、空き家を手放したい人をつなぐわけです。実際のバンクには、見付・合代島・城之崎・国府台・新貝・大平など、市内のさまざまなエリアの戸建てが並んでいます。価格帯も、数百万円台から数千万円台まで幅広く掲載されています。なお、当社・富士ヶ丘サービスも、この空き家バンクに物件を掲載している登録事業者の一社です。地元で長く営んできた立場から、空き家の相談に応じています。
所有者ができる3つの相談ルート
「自分の空き家も載せてもらえるの?」と思った方へ。空き家を持つ所有者が使えるルートは、大きく3つあります。
1登録事業者に相談して空き家バンクへ掲載する
空き家バンクに掲載できるのは、市内にある一戸建てで、現在は誰も住んでいない(住む予定もない)住宅です。新築でないことなどの条件もあります。掲載の手続きは、不動産関係事業者を通じて行います。所有しているか、媒介契約を結んでいる物件を、事業者が市に申請する流れです。まずは地元の不動産会社に相談するのが、わかりやすい入口になります。
2「事業者紹介」制度を使う
「どの不動産会社に頼めばいいかわからない」という方のために、市は事業者を紹介する仕組みも用意しています。市内に空き家を持つ方が希望すれば、空き家バンクに登録している事業者を、市が所有者の希望する方法で紹介してくれます。専用の申し込みフォームから手続きできます。ただし、これは売買などの成約を保証するものではありません。あくまで、相談先を見つけるための窓口です。
3空き家おこしプロジェクトの無償査定
磐田市は「空き家おこしプロジェクト」という取り組みも進めています。市民や関係者に空き家対策を知ってもらい、一緒に進める相手を見つけ、活用を促すための活動です。令和7年度は「マッチング12件」を目標に掲げています。この中で、市は民間事業者と業務委託契約を結び、空き家の査定などの提案を進めています。査定は無償で行われ、その結果は市から所有者へ伝えられます。希望すれば事業者の紹介も受けられます。「まず今の価値を知りたい」という段階の方にとって、心理的なハードルが低いルートといえます。
このプロジェクトには、NPOの遠州空き家対策ネットワークや、市内の自治会連合会、地域包括支援センター、社会福祉協議会、商工会・商工会議所、さらには磐田警察署まで、幅広い関係者が参加しています。空き家を「不動産だけの問題」ではなく、地域全体の課題として捉えている点が特徴です。所有者にとっては、相談できる相手が一社だけでなく、地域ぐるみで広がっているという安心感があります。ひとりで悩むより、まずは扉をたたいてみる価値があります。
掲載だけじゃない ── 活用と売却の選択肢
空き家バンクと聞くと「売る」だけをイメージするかもしれません。けれど、選択肢はそれだけではありません。空き家おこしプロジェクトでは、空き家を活用したいと考える人と所有者をつなぐ動きも生まれています。たとえば、海老芋づくりに関心を持つ就農希望者と、空き家の所有者の顔合わせが実現した事例があります。この所有者は、約1年前の移住定住ツアーに参加した方でした。
このように、空き家は「住まい」としてだけでなく、移住者の暮らしの場や、地域での新しい挑戦の拠点にもなり得ます。もちろん、建物の状態によっては活用が難しい場合もあります。その場合でも、「活用は難しい」と知ること自体が前進です。解体や土地としての活用へ、次の一歩を踏み出せるからです。大切なのは、選択肢を一度テーブルに並べてみることです。
あわせて知っておきたい支援制度
磐田市には、空き家にまつわる支援制度もあります。まず、空き家を買って住もうとする方に向けた「既存住宅取得等事業費補助金」があります。買い手にとっての後押しは、結果として売りやすさにもつながります。
所有者側の制度としては、危険な空き家の解体費用を助成する仕組みや、家屋や土地を譲渡した場合の優遇税制についての案内もあります。たとえば、一定の要件を満たす相続した空き家を売却した場合に、税の負担が軽くなる特例などが知られています。ただし、こうした制度は要件や期間が細かく決まっており、内容も見直されることがあります。自分が対象になるかどうかは、個別の状況によって変わります。
利用を考える際は、市の担当課(建設部 建築住宅課 住宅管理グループ)や、税理士・不動産の専門家に、最新の条件を確認するのが安心です。使える制度を知っているかどうかで、手元に残るものが変わってくることもあります。「知らずに損をしていた」とならないよう、早い段階で情報を集めておくとよいでしょう。相談は無料で受けられる窓口も多く、まずは聞いてみるところから始められます。
「スタジアムを感じられる家」── 磐田ならではの発信
磐田市の空き家対策には、この街らしい工夫もあります。サッカーJ1・ジュビロ磐田と連携した「移住体験ツアー」です。東京圏に住む方を対象に、市内の住まいを案内する取り組みで、空き家バンクに「スタジアムを感じられる家」として掲載された家が紹介されました。
サッカーのまち磐田だからこそ届く魅力があります。こうした発信は、空き家を「負担」ではなく「価値ある住まい」として見せ直す試みでもあります。所有者にとっては、自分の空き家にも誰かにとっての魅力があるかもしれない、と気づくきっかけになります。豊田・福田・竜洋・豊岡など、エリアごとに暮らしの個性も異なります。その土地ならではの良さは、地元をよく知る人ほど見つけやすいものです。
「古い家だから売れない」と思っていませんか?
空き家の相談でよく聞かれるのが、「こんな古い家、誰も買わないのでは」という声です。たしかに、築年数の古い家は新築のようには売れません。けれど、買い手の目的はさまざまです。建物をリフォームして住みたい人、土地として活用したい人、二拠点生活の拠点を探している人もいます。古い家ならではの趣を好む人も、確実にいます。
磐田市では、中古住宅を取得する人への補助金もあり、古い家でも買い手が一歩を踏み出しやすい環境が整いつつあります。「売れない」と決めつけて動かないより、まず市場の見方を聞いてみる。それだけで、思っていた以上の選択肢が見えてくることもあります。値がつくかどうかは、地域や状態をよく知る専門家でなければ判断が難しい部分です。一人で結論を出す前に、相談してみる価値は十分にあります。
空き家バンクに載せるまでの、おおまかな流れ
実際に空き家バンクへ掲載するまでは、いくつかの段階を踏みます。流れを知っておくと、心の準備がしやすくなります。
- STEP1 相談 不動産関係事業者へ。物件の場所や状態を伝え、掲載できる条件に当てはまるかを確認します。
- STEP2 書類の準備 所有者がわかる資料、媒介契約書、外観写真などをそろえます。境界の確認に時間がかかることもあります。
- STEP3 市へ申請 事業者が、市の様式に沿った申請書とカードを提出します。
- STEP4 掲載・問い合わせ 市の公式サイトに情報が掲載され、購入希望者からの連絡を待ちます。
一つひとつは難しい手続きではありません。ただ、書類の準備には少し時間がかかります。「いざ動こう」と思ったときにすぐ進められるよう、登記の内容や固定資産税の通知書など、手元の資料を早めに確認しておくと安心です。準備が整っているほど、その後の流れはスムーズになります。
まず何から始めればいい?(まとめ)
空き家の悩みは、考え始めるまでが一番重く感じられるものです。けれど、磐田市には、所有者を支える仕組みがいくつもそろっています。空き家バンクへの掲載、事業者の紹介、無償の査定、そして活用や解体への支援。どれも、ひとりで抱え込まないための入口です。
最初の一歩は、難しく考える必要はありません。今の空き家がどんな状態で、どのくらいの価値があるのかを知ることから始めてみてください。査定を受けても、必ず売らなければいけないわけではありません。情報を持っておくだけで、ご自身やご家族が落ち着いて話し合えるようになります。磐田市の空き家について気になることがあれば、地域の事情に詳しい専門家に相談しながら、ご自身のペースで進めていきましょう。見付・合代島から竜洋・福田まで、地元に根ざした視点でお手伝いできることがあります。まずは、気軽な問い合わせから始めてみてはいかがでしょうか。
富士ヶ丘サービス株式会社
静岡県磐田市見付5789番地1
TEL:0538-31-3308
免許:静岡県知事 (2) 第14083号
ウェブサイト:www.fujigaoka-service.co.jp / fujigaoka-service.info/fudosan
加盟:公益社団法人 全日本不動産協会/公益社団法人 不動産保証協会/公正取引協議会加盟事業者
【参考情報】磐田市公式ウェブサイト「空き家バンク」/「空き家おこしプロジェクト」/「既存住宅取得等事業費補助金」案内/「空家等対策計画」
※本記事は2026年6月2日時点の公開情報をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。各制度の要件・金額・期間は変更される場合があり、売却や活用の結果を保証するものではありません。実際のご検討にあたっては、磐田市の担当課や専門家に最新の内容をご確認ください。















