相続した実家が「兄弟の共有名義」のまま──分け方4つの選択肢と、共有を避けたい理由
公開日:2026年6月6日/カテゴリ:相続した実家の相談窓口
「とりあえず兄弟3人の名義にしておこう」──相続した実家の分け方で、いちばん選ばれやすいのが共有名義です。一見すると平等で角も立たず、その場は丸くおさまります。けれど、磐田市・袋井市・浜松市で実家のご相談をうかがっていると、後になって「売りたいのに全員の同意がそろわない」「固定資産税を誰が払うかで揉めた」と行き詰まるのは、たいていこの共有名義です。私たち富士ヶ丘サービスがお伝えしているのは「すぐ売りませんか」ではなく「まず一緒に整理しませんか」。本記事では、遺産分割の4つの方法と、共有名義をなるべく避けたい理由、そしてもう共有になっている実家をどう解きほぐすかを、落ち着いて整理します。
1. 「共有名義」とは──相続するとどうなる
共有名義とは、ひとつの不動産を複数の人が「持分」という割合で共同所有している状態のことです。たとえば父が遺した実家を、母・長男・次男が法定相続分どおりに相続すると、母2分の1、長男4分の1、次男4分の1という共有になります。
ここで誤解されやすいのが、「4分の1の持分だから、家の一部屋を自由に使える」「自分の取り分だけ勝手に処分できる」というイメージです。実際には逆で、共有とは建物・土地のすべてに各自の権利が及んでいる状態です。そのため、その不動産をどう扱うかは、原則として共有者みんなで足並みをそろえて決めなければなりません。とりわけ売却のような大きな処分は、後で見るように全員の同意が必要になります。
遺言書がなく、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)でも決めずにいると、不動産は自動的に法定相続分どおりの共有状態に置かれます。「まだ決めていない」状態そのものが、実は共有のはじまりなのです。
2. 実家の分け方は4つ──順番に検討するのがコツ
相続した不動産を相続人で分ける方法は、大きく次の4つです。実務では、まず現物分割から検討し、難しければ代償・換価へ、共有は「最後の手段」と位置づけて検討するのが一般的とされています。
| 方法 | 内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 現物分割 | 財産を売らず、そのままの形で分ける。例:実家は長男、預貯金は次男…と財産ごとに割り当てる。 | 不動産以外にも分けられる財産があり、金額のバランスが取りやすいとき。 |
| 代償分割 | 一人が実家を相続し、その人が他の相続人へ見合う金額(代償金)を支払う。 | 実家に住み続けたい・残したい相続人がいて、代償金を用意できるとき。 |
| 換価分割 | 実家を売却して現金化し、その代金を相続人で分ける。 | 誰も住む予定がなく、公平に現金で分けたいとき。 |
| 共有分割 | 実家を複数の相続人の共有名義のまま持つ。 | 結論を先送りするときに選ばれがちだが、後述の通り注意が必要。 |
たとえば「長男が実家に住み続けたい」なら代償分割、「誰も使わないので公平に分けたい」なら換価分割、というように、実家を最終的に誰が・どう使うのかから逆算すると、ふさわしい方法が見えてきます。共有分割は手続きこそ簡単ですが、それは「決めること」を将来に先送りしているだけ、という側面があります。
3. 共有名義を「なるべく避けたい」本当の理由
共有名義そのものが違法なわけではありません。けれど、相続した実家を共有のままにすると、後々いくつかの壁にぶつかりやすくなります。
売るには「全員の同意」が必要
共有不動産の全体を売却するには、たとえ100分の1の持分しか持たない人がいても、その人を含む共有者全員の同意が必要です(民法第251条)。当初は全員が「いずれ売ろう」と思っていても、年月がたつと考えや事情は変わります。誰か一人が「今は売りたくない」と言えば、実家はそのまま動かせない「塩漬け」状態になってしまいます。
固定資産税と管理費の負担で揉めやすい
固定資産税・都市計画税の納税通知書は、共有者の代表一人に届きます。そして共有者全員が連帯してその全額を納める義務(連帯納税義務)を負います。修繕費なども本来は持分に応じて負担すべきものですが(民法第253条)、「住んでいない自分がなぜ払うのか」という不満が生まれ、立て替えた一人に負担が偏りがちです。
放置するほど共有者が増えていく
これが共有のいちばん怖いところです。共有名義のまま相続人の誰かが亡くなると、その持分はさらにその子へと枝分かれします(数次相続)。当初は兄弟3人の共有だったものが、いとこや甥・姪まで含む十数人の共有になり、面識のない遠方の親族全員の同意がなければ何も決められない、という事態が現実に起きています。私たちが「本当の競争相手は何もしないこと(放置)」とお伝えしているのは、まさにこの点です。
4. もう「共有名義」になっている実家をどうするか
すでに共有になっている、あるいは長く放置していた実家でも、解消の道はあります。進め方は段階的です。
まずは共有者みんなで話し合い、誰かが他の持分を買い取る(代償分割に近い形)、あるいは全員で第三者へ売却して代金を分ける(換価分割)といった方針を決めるのが基本です。話し合いがどうしてもまとまらない場合は、共有者の一人から共有物分割請求を行い、最終的には裁判所に分割方法を決めてもらう道もあります(民法第258条)。裁判所は現物分割や、一人に持分を取得させて代償金を払わせる方法を命じることができ、それも難しければ競売を命じることができます。
ただし競売になると市場価格より安くなりがちで、結局は共有者全員が損をしやすいものです。そのため実務では、裁判まで行く前に「それなら不動産会社を通じて普通に売って分けよう」という話し合いに落ち着くことがほとんどです。だからこそ、こじれる前の早い段階で、地域の不動産会社に相場感や売り方を相談していただくことに意味があります。
5. 磐田での最初の一歩──「10年の壁」も意識して
では何から始めればよいか。完璧な結論を急ぐ前に、次の順で現状を見える化することをおすすめします。
- 名義と持分を確認する:実家の登記事項証明書を取り、今の名義と持分割合を確かめます。共有になっているのか、まだ亡くなった方のままなのかで、次の一手が変わります。
- 相続人を整理する:誰が相続人になるのかを戸籍でたどります。早く着手するほど、数次相続で範囲が広がらずに済みます。
- 「住む・貸す・売る」の方針を仮置きする:そのうえで、実家を誰がどう使うのかを話し合い、4つの分け方のどれが近いかを当てはめます。
- 専門家につなぐ:登記そのものは司法書士、税の有利不利は税理士、出口(売る・貸す)の見立ては不動産会社、と役割を分けて相談します。私たちは入り口の整理から専門家のご紹介まで、ひとつの窓口でお手伝いします。
まとめ
相続した実家を共有名義にするのは、その場は平等で角が立たない一方、売却に全員の同意が要り、税負担で揉め、放置するほど共有者が増えて手続きが難しくなる、という後々の壁を抱え込むことでもあります。分け方には現物・代償・換価・共有の4つがあり、「実家を誰がどう使うのか」から逆算すれば、共有以外の道が見えてくることが少なくありません。すでに共有になっていても、話し合いや共有物分割で解きほぐせます。磐田市・袋井市・浜松市で「実家を兄弟でどう分けよう」と迷っている方は、結論を出す前の整理から、どうぞお気軽にご相談ください。
参考情報(2026年6月時点)
- 法務省「令和3年民法・不動産登記法改正(共有制度の見直し等)」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html
- 政府広報オンライン「2023年4月から変わる相続・共有のルール」 https://www.gov-online.go.jp/
- e-Gov法令検索「民法」(第249〜258条 共有/第903・904条の2 特別受益・寄与分) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 国税庁「No.4173 代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4173.htm
- 日本司法書士会連合会「遺産分割と共有・相続登記」 https://www.shiho-shoshi.or.jp/
相続した実家のこと、まず整理しませんか
名義と持分の確認から、分け方(現物・代償・換価)の検討、共有の解消、その先の「売る・貸す・残す」のご相談まで。磐田市見付を拠点に、袋井市・浜松市の皆さまにも寄り添う地域密着の不動産会社です。相談は無料です。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務上の最終判断は専門家へご確認ください。記載の制度・数値は公開時点の情報です。















