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親が元気なうちにやっておきたい、実家の備え──家族会議と書類整理から始める「相続の準備」
公開日:2026年6月9日/カテゴリ:相続した実家の相談窓口
1. なぜ「元気なうち」が大事なのか──認知症と「資産凍結」
いちばん知っておいていただきたいのが、「資産凍結」という問題です。不動産の売買契約は、本人に十分な判断能力(意思能力)があることが前提です。親が認知症などで判断能力が不十分だとみなされると、たとえ子どもであっても、勝手に実家を売ったり貸したりすることはできなくなります。これがいわゆる「資産凍結」で、実家が売れず、施設費用や介護費用にあてられない、という事態につながります。
「家族なんだから何とかなるだろう」と思われがちですが、現実には金融機関も法務局も、本人の意思確認ができない取引には応じません。判断能力が失われてから動こうとすると、後述する成年後見制度を使うしかなくなり、手続きにも時間がかかります。選択肢がいちばん広いのは、親が元気で、自分の意思で物事を決められる「今」なのです。
2. まず「家族会議」で話しておきたいこと
大げさな会議は要りません。お盆や年末年始に家族が集まったとき、お茶を飲みながらでかまいません。大切なのは「実家をどうするか」を、親本人を含めて一度言葉にしておくことです。話しておきたいのは、おおよそ次のような点です。
- 親自身は実家をどうしたいか(住み続けたい/いずれ施設/子に継いでほしい など)
- 実家を継ぐ人、管理する人をだれにするか
- 兄弟姉妹それぞれの考え(売却か、残すか、誰が住むか)
- 住宅ローンや借入が残っていないか
- 親の医療・介護の希望、もしものときの連絡や費用の分担
ここで結論を出しきる必要はありません。「実家のことを話してよい雰囲気」をつくること自体が成果です。相続でもめる多くのケースは、財産の多さより「生前にだれも話さなかった」ことから始まります。親が元気なうちに方向性を共有しておくだけで、いざというときの判断がぐっと楽になります。
3. 整理しておきたい「実家の書類」
相続の手続きで子世代がいちばん苦労するのが、「実家にどんな不動産があり、書類がどこにあるか分からない」という状態です。親が元気なうちに、次の書類のありかだけでも確認しておくと、後の負担が大きく変わります。
| 書類・情報 | なぜ必要か |
|---|---|
| 登記済権利証/登記識別情報 | 不動産の所有者を示す大切な書類。売却・名義変更で使う |
| 固定資産税の納税通知書 | 所有する不動産と評価額が分かる。毎年春に届く |
| 登記事項証明書(登記簿) | 名義・地番・抵当権の有無を確認できる |
| 境界・測量図、建築確認の書類 | 土地の範囲や面積をめぐるトラブルを防ぐ |
| 保険証券・通帳・有価証券 | 火災保険や金融資産の把握。請求漏れを防ぐ |
あわせておすすめしたいのがエンディングノートです。法的な効力はありませんが、不動産・預金・保険・連絡先・希望を一冊にまとめておくだけで、残された家族の手間と迷いが大きく減ります。磐田市をはじめ多くの自治体や金融機関が無料の様式を配布しています。「遺言」と身構えず、まずは情報の整理から始めるのが続けるコツです。
4. 認知症に備える制度──成年後見・任意後見・家族信託
親が元気なうちだからこそ選べる、認知症に備える制度があります。代表的な3つを整理します。
成年後見制度(法定後見)
判断能力がすでに低下してから、家庭裁判所が後見人を選ぶ制度です。本人を守るための制度のため、実家の売却など財産を積極的に動かす行為は、家庭裁判所の許可が必要で、原則「本人の利益になる場合」に限られます。後見人に専門家が就くと、継続的な報酬が発生し続けることもあります。「最後の手段」と考えておくとよいでしょう。
任意後見制度
親が元気なうちに、将来支えてほしい人(子どもなど)を自分で選び、公正証書で契約しておく制度です。判断能力が低下したときに、家庭裁判所が選ぶ「任意後見監督人」のもとで後見が始まります。監督人への報酬(月額1万〜3万円程度が目安)がかかりますが、自分で後見人を選べる点が安心材料です。
家族信託
親(委託者)が、信頼する子ども(受託者)に財産の管理・処分を任せる契約です。あらかじめ「実家を売って施設費用にあててよい」と決めておけば、親の判断能力が低下したあとでも、子どもが実家を管理・売却できます。「攻めの財産活用」に向く一方、契約設計に専門家が関わるため、初期費用は不動産がある場合でおおむね50万〜100万円程度が目安です。継続報酬は、家族が受託者なら無報酬にもできます。
5. 2026年に知っておきたい新しい制度
相続をめぐる制度は近年大きく変わっています。実家の備えを考えるうえで、押さえておきたい最新の動きが2つあります。
所有不動産記録証明制度(2026年2月開始)
2026年(令和8年)2月2日から始まった新制度です。特定の人が所有する不動産を、法務局が全国の登記データから一括で検索し、リスト化して証明書を交付してくれます。本人のほか、相続人なども請求できます。「親がどこに不動産を持っているか分からない」「先祖名義の土地が他にもあるかも」という心配に応える制度で、相続前の財産の棚卸しに役立ちます。ただし、登記簿上の住所・氏名と一致しない不動産は抽出されない点には注意が必要です。
相続登記の義務化と住所変更登記の義務化
2024年(令和6年)4月から相続登記が義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記しないと、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象になります。過去の相続も対象で、令和9年(2027年)3月末までの猶予があります。さらに2026年(令和8年)4月からは住所等変更登記も義務化されます。実家の名義が古いまま放置されていないか、この機会に確認しておきましょう。
まとめ
相続の備えは、親が亡くなってからではなく、元気なうちに始めるほど選べる道が広がります。認知症が進むと不動産が「資産凍結」され、売ることも貸すこともできなくなるからです。まずは家族会議で実家の方向性を共有し、権利証・固定資産税の通知書・保険証券など書類のありかを整理する。あわせてエンディングノートで情報をまとめておく。将来の売却・活用まで考えるなら、任意後見や家族信託といった制度を、判断能力があるうちに検討しておく。2026年からは所有不動産記録証明制度も始まり、財産の棚卸しもしやすくなりました。相続登記は3年以内、過料は10万円以下という義務化も進んでいます。「まだ元気だから」と先延ばしにせず、今のうちに少しずつ整理しておくこと。それが、家族を守るいちばんの備えです。磐田市・袋井市・浜松市で実家のことが気にかかる方は、何をどう始めればよいかの整理から、お気軽にご相談ください。
参考情報(2026年6月時点)
- 法務省「相続登記の申請義務化について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
- 政府広報オンライン「相続登記義務化/所有不動産を一覧的にリスト化する新制度」 https://www.gov-online.go.jp/article/202512/entry-10431.html
- 法務省「所有不動産記録証明制度(令和8年2月2日施行)」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00643.html
- 厚生労働省「成年後見制度・任意後見制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202622.html
- 法務省「任意後見制度について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji95.html
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親が元気なうちの家族会議、書類の整理、認知症に備える制度の検討、そして将来の売却・活用の見立てまで。「売りませんか」ではなく「まず整理しませんか」を大切に、磐田市見付を拠点に、袋井市・浜松市の皆さまにも寄り添う地域密着の不動産会社です。相談は無料です。
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