今日も結論から記述していきましょう。新築分譲住宅を購入する際には、1ヶ月ルールが明示化されていないけど、新しい仲介不動産の常識になり始めています。名称が「1ヶ月ルール」と呼ぶのも確固たるものはないので、本当に「1ヶ月ルール」という呼び名でいいのか疑問は残りますが、このnote(ブログ)では「1ヶ月ルール」と呼ぶことにします。(違和感があったらごめんなさい。)
新築分譲住宅購入の「1ヶ月ルール」とはなにか
私が勝手に「1ヶ月ルール」と呼んでいるのは、新築分譲住宅を購入する際に、不動産購入申込書(買付)を受理されてから、決済・引渡を受けるまでの期間が1ヶ月間で終えるようにとのルールです。
不動産購入申込書(買付)を提出・受理されてから、決済・引渡までの標準的な流れをご紹介します。
⓪新築分譲住宅を内見し、購入したいと意思が固まったら、不動産購入申込書(買付)を提出します。
ーーーーココからが「1ヶ月ルール」のスタートですーーーーーーーー
①売主が不動産購入申込書(買付)を受理し、購入価格が決定します。
②売主と不動産売買契約を締結します。
③買主負担で新築分譲住宅の表示登記を行います。
④買主は購入する新築分譲住宅に住所移転を行います。
⑤買主は住宅ローンを借りるための金消契約を締結します。
⑥買主は売主に建物売買価格を支払い、新築分譲住宅の引渡を受けます。
ーーーーココまでが「1ヶ月ルール」のルールですーーーーーーーー
⓪新築分譲住宅を内見し、購入したいと意思が固まったら、不動産購入申込書(買付)を提出します。
新築分譲住宅を内見する前に、都市銀行・地方銀行・信用金庫を称して、市中銀行で住宅ローンを借りようとする場合は、事前審査を済ませておくことをお勧めます。
新築分譲住宅を内見し、購入したいと意思を固めたら、当日に不動産購入申込書を提出することが購入の一歩です。特にすでに完成している新築分譲住宅を購入しようと決意した場合は必須です。新築分譲住宅の購入を無理強いしないことをモットーとする私ですら、完成物件について、当日不動産購入申込書を提出しなかったら、この完成物件は諦めた方がいいと考えています。さらに、土曜日・日曜日の週末を跨いでなお、まだ新築分譲住宅の購入できるチャンスがあったら、ラッキーと思ってください。
提出する不動産購入申込書の弊社が使うフォームはこちらです。
この不動産購入申込書を提出するところから始まりますが、実は「1ヶ月ルール」のスタートではありません。不動産購入申込書を提出したら、必ず新築分譲住宅を購入することができますか?と問われると、答えは否です。必ず新築分譲住宅を購入できるわけではありません。もしかしたら、他の不動産仲介会社から、先約として不動産購入申込書を提出している方がいらっしゃるかもしれません。また値引き交渉をしている最中に、売値の満額で購入したいという購入したいという他の買主候補がいたら、あなたの不動産購入申込書が受理されない可能性もあります。
①売主が不動産購入申込書(買付)を受理し、購入価格が決定します。
新築分譲住宅の売主と、仲介不動産会社が価格交渉を行い、売買価格が決定し、買主が売買価格を了解したところから、今回の「1ヶ月ルール」がスタートになります。つまり買主が提出した不動産購入申込書を、売主が受理したことになります。
ここから決済・引渡までの期間が1ヶ月間で終えることが、売主から求められます。例えば、今週末土曜日に「1ヶ月ルール」がスタートしたとします。
7月4日内見・不動産購入申込書受理→7月11日までに不動産契約→7月31日までに決済・引渡
という「1ヶ月ルール」が売主の新築分譲住宅販売会社に求められるのです。7月末の決済・引渡が求められるのは7月10日くらいまでで、20日間で決済・引渡までの流れをこなすのは至難の業ですが、私は売主の求めに従い、どうにかこのスケジュールに乗せるための仕事をします。
では7月11日ぐらいだったらどうかというと、7月末までの決済・引渡は難しくても、8月10日以前までに決済・引渡をするように求められる傾向があります。
②売主と不動産売買契約を締結します。
不動産購入申込書を記入し提出した買主さんにとって、次は売主と売買契約を締結することが次のステップになります。手付金の事前振り込みは求められますが、指定された売主の事務所にて不動産売買契約を締結することになります。
しかし不動産仲介会社にとっては、買主と売主が不動産売買契約を締結するまでに、重要事項説明書を作成しなければなりません。私たちの場合、その作成時間は2~3時間くらいですが、追加の調査や、売主のチェックを受けるためのやり取りを入れると、約2日弱かかります。
この重要事項説明書を作成そして、買主にご説明することが不動産仲介会社の不動産仲介料の根拠であると思います。ただの紹介屋や取次屋ではなく、購入する新築分譲住宅の土地と建物を安心して購入して大丈夫ですよと一定の担保をお渡しすることが私たちの役割であり、大きなお金を頂く理由だと思っています。
③買主負担で新築分譲住宅の表示登記を行います。
新築分譲住宅の場合、不動産購入申込書を提出する時点では、建物に住所がありません。土地には地番という数字は割り振られていますが、建物には住所という数字は割り振られていないのです。そこで住所という数字を割り振ってもらう作業が「表示登記」という作業になります。この「表示登記」は不動産仲介会社では行えず、土地家屋調査士が行います。
この土地家屋調査士が行う「表示登記」の費用は、基本的には買主負担です。決済・引渡時に、1)土地家屋調査士に支払いをする方法と、2)土地家屋調査士費用を売主が立替、売主にその立替費用を支払う方法、の2種類があります。
この「表示登記」を行い、購入する新築分譲住宅に住所がついて初めて、購入できる状態になります。この「表示登記」という作業は代替1週間程度の期間を要します。
④買主は購入する新築分譲住宅に住所移転を行います。
「⑤買主は住宅ローンを借りるための金消契約を締結します」の前に、住所移転を行います。当然、新しい住所に移すので「③買主負担で新築分譲住宅の表示登記を行います。」が完了した後でなければ、移す住所がないため、「表示登記」が完了した後に、住所移転を行うことになります。
ここで実際に起こりうる話をします。住所を移転するために、購入する新築分譲住宅のある行政窓口にお出かけ頂くことになります。住所を移転したいんですけど、と伝えるとこんなコメントが返ってくることがあります。
行政窓口の方が「もうその住所に居住していますか」っと言ってくることがあります。ここでひるんではいけません。まだ決済・引渡を受けていませんが、「はい、この住所に居住しています」と嘘をつかなければならないのです。なぜ行政窓口の方がこのような質問をされるのか、私は行政ルールはわかりませんが、嘘をついてでも、住所移転をしなければならないかというと、ここで住所移転をしておかなければ、購入する新築分譲住宅の所有権移転登記・抵当権設定登記の住所が新住所にできないからです。
旧住所で所有権移転登記・抵当権設定した場合、いずれ新住所に住所変更しなければならず、住所変更には司法書士に支払う費用が出てしまいます。この住所変更費用を削減するために、この時点で、住所変更しなければならないのです。
行政窓口の方も、きっと新しく不動産を購入する場合には、この嘘をつくと思いますが、なぜ「もうその住所に居住していますか」って言うのでしょうか。もし行政のルールがわかる方がいたら、教えてください。
⑤買主は住宅ローンを借りるための金消契約を締結します。
新住所に移転した住民票や印鑑証明を使って、住宅ローンを借りるための金消契約を締結することになります。この金消契約を締結するリミット(期限)、決済・引渡をする日の4もしくは5営業日前までになります。
⑥買主は売主に建物売買価格を支払い、新築分譲住宅の引渡を受けます。
金融機関で住宅ローンを実行していただき、お金を準備し売主に建物売買価格を支払い、新築分譲住宅の引渡を受けます。
ここまでの流れ、「①売主が不動産購入申込書(買付)を受理し、購入価格が決定します。」から「⑥買主は売主に建物売買価格を支払い、新築分譲住宅の引渡を受けます。」までを1ヶ月間で終えるのが「1ヶ月ルール」ということになります。
(まとめ)なぜ「1ヶ月ルール」がひそかに存在しているのか。
ここまで「1ヶ月ルール」と私が命名した流れを解説しました。しかしなぜこの「1ヶ月ルール」が存在しているのでしょうか。理由は、売主である新築分譲住宅会社の担当者の心理が大きな影響をしていると考えます。「鉄は熱いうちに打て」ではありませんが、この短期間で決済・引渡を行っていくことで、「買うのやーめた」と途中離脱者を防ぐことができると考えているのでしょう。
私は不動産購入を無理強いしないがモットーの不動産屋ですが、実は、売主との関係で、こういうスケジュールで動かなければならないことを知ってください。じっくり考えたいと考える方は、内見した新築分譲住宅を購入するチャンスを逸してしまう可能性があることも是非、知っていただければ、あらぬ誤解や疑いは避けられるんじゃないかと思います。
取扱会社
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